【あとがき】三者三様

おかげさまで完売した三者三様についてつらつら書きます。お手に取った方々、ありがとうございました。

ちょっとしたことがあってXの投稿をほぼ消してしまったのですが、私は前々から自分VS自分という構図が好きだと発信してきました。
記憶喪失による、『同一人物であり別人』であり、記憶喪失以前の自分に対抗心を燃やすような話は、いくらあってもいいと思っています。
でも見参ってPS3時代のゲームだから、最近ハマった人は履修していなかったりするんですよね。全盛期ならばいくらでも浴びれたのでしょうが、私が如くに沼ったのが2023年ごろだったのでなかなか自分好みの作品にはたどりつげず、ならば書くしかないと書いたのが「三者三様」です。
見参において真島と宍戸は『同一人物であり別人』でありました。そしてなんの因果か桐生ちゃんと再会を果たします。激熱展開。あの再会シーンからいくらでも話を盛れますし、あそこを起点に自分VS自分に持っていけると思っています。
最終的には真島は記憶を取り戻していましたね。ラストを見るとその後は真島として生きたのかな?と推測しています。
では性格や記憶は?真島はマトモなところが強くあり、宍戸は自由奔放なところが強くありました。うまい具合に混ざったならば「真島吾朗」のような人格が生まれたことでしょう。
そこに桐生一馬之介がいた場合、すんなり混ざったのか。自分自身に嫉妬したのではないのか。そうやって「三者三様」のネタがうまれました。どうせ書くなら自分の好きな話を書くしかないんです。以前書いた見参話も似たようなものでしたからね。(笑)
また、見参においては桐生ちゃんもまた『同一人物であり別人』でしたね。宮本と桐生。『これは別人として生きていかなければならなかった』という記憶喪失とはまた別の理由でした。
見参に置いては、真島も桐生も似ているようで似ていない境遇であり、しかし何度も再会する因果関係があります。これはもう運命なので付き合うのも運命としか言いようがないですね。
桐生ちゃんは自分VS自分にはならないにしても、宮本武蔵の業をそのまま桐生一馬之介が背負うという構図になるのでは?と考えました。宮本武蔵だろうが坂本龍馬だろうが桐生一馬だろうが、なんでもかんでも自分のせいだと背負い込むのは桐生族の特徴だと思っています。

・浮世について
はたして本当に夫婦だったのかな、という疑問が強くあります。時代的に恋愛感情なんて無くても結婚はしていたでしょうし、武蔵ちゃんが浮世の面倒を見るにはそういう体裁が一番楽、という面においては『夫婦』という関係も納得です。しかしいわゆる『夫婦関係』があったのかどうかといえば『なかった』と思います。浮世➡武蔵はあっても、武蔵ちゃんは浮世の生い立ちや境遇への同情が強く、また、真島との約束を守る意思が大きかったと考えています。『夫婦』ではなく『家族』という関係といえば腑に落ちるような。ただ、あのまま何年も共に暮らしていればまた話は別だったかもしれません。

・吉野について
お座敷遊び中、吉野に宍戸のことを相談するシーンを入れようと考えてたのですが、あまりにも吉野が可愛そうでやめました。
姉妹揃って桐生ちゃん矢印を向けていますが、やはり桐生ちゃんからの矢印は見えない。作中でも浮世の姉かもしれない、という疑問から吉野に近づいていますし、やはり恋愛感情はなかったと考えています。浮世の償いのために吉野を身請けしたいという気持ちが強かったのでは。吉野も桐生ちゃんも『浮世の遺族』なんですよね。さらにいえば桐生ちゃんは浮世を死なせてしまった負い目がある。そのために大金を用意して吉野を自由にするというのは自然な流れかもしれません。
でも、その後がわからないんですよね。終盤の桐生ちゃんの無責任な行動に「おいおい」と突っ込んだのは私だけではないはず。吉野も遥ちゃんも身請けしたくせに「俺がおとりになるから先に行けー!」じゃないでしょ。とはいえあの展開で桐生ちゃんが生き残るのも、遥ちゃんが逃げるのも難しいので仕方ないと言えば仕方ない。
はたして吉野はあのあとどうなったのでしょう。『桐生の国』に帰ったのでしょうか?それとも祇園に残ったのでしょうか?桐生ちゃんという強烈な男に惚れたあとでは、その後結婚するのも苦労しそうです。どの男も色あせて見えるかも。ならしっかり失恋したほうが次にいきやすいのでは?という老婆心から「大団円」がうまれました。吉野はもっと真島を恨んでいいです。

・真島について
小説書くまで気づかなかったのですが、記憶が戻ってからの真島の行動にはカチンときました。吉野を浮世だと勘違いし、祇園に売り飛ばしたのではと思い込んだ真島が遥ちゃんを誘拐するシーン、あれって真島が記憶喪失になっていたせいでは?
もちろん、あのつり橋から落ちて生きているだけでも奇跡的、本来ならば死んでたはずなのだから記憶喪失は関係ないと言えば関係ありません。
でも、真島が浮世たちの父親を殺さなければ、浮世と揚羽はともに暮らしていたことでしょう。または浮世を引き取らなければ、真島狙いの懸賞稼ぎの男たちもおとずれず浮世は死なずにすんでいました。浮世と揚羽の運命は真島によって捻じ曲げられたというのに、よくもまあ武蔵ちゃんに怒れたもんだなあ。ということで作中でも自責してもらいました。
見参のラストシーン、あれは剣士に戻ったということなのでしょうか?もう人斬りはしないと言っていたのに?宮本武蔵の意思を継ぎ、『剣で人を救う』という浮世の思いも成就させるために大坂の陣に参加したなら納得ですが。
「三者三様」で盗賊団残党に襲われるシーンではもっと桐生ちゃんを痛めつける予定でした。思いっきりバッサリ斬らないと失神しないだろうと思ったのですが、そこまでやったら真島はブチ切れて残党たちを皆殺しにしたでしょう。それは桐生ちゃんの意思に反するので駄目。あのくだりはグダグダになってしまったので、もうちょっとうまい具合に残党たちを処理したかったですね。

・宍戸について
一人だけ自由奔放で好きです。登場人物みんなシリアス背負っているのに、自分に記憶がないこともなんとも思わずカラっとしている。祇園で桐生ちゃんに会いに来た時も楽しそうにしていました。
普通喧嘩に負けたからって言葉通りに祇園に遊びに来ますかね。真島としての記憶がほんのりあるのか、宍戸としての性格だったのか、はたまた一目ぼれだったのか。(笑)
前述したとおり、記憶が戻ってからは真島として生きていたのではと推測しています。となると盗賊団はどうなったのでしょう。解散か、誰かにまかせたのか。ていうかラスト生きてたんかい。助けに来い。ということで助けに来てもらいました。来来世で海賊になっているんですから、見参でも海賊もどきでもしていればいいんです。
「三者三様」では性欲の権化みたいな酷い扱いにしてしまいましたが、真島の「本音」や「本能」を担当してもらいました。言いたいことは何でも言いたいし、愛情表現も隠したくない。桐生ちゃんと過ごした時間は短いはずなのに愛が強すぎる。もっと真島と口げんかさせればよかったなと若干後悔が残っています。

・伊東について
出したかった!本当は龍屋の噂を聞きつけて伊東もまた祇園に戻るという流れを書こうとしたのですが、さすがに登場人物が多くなりすぎるし、もはや真桐話ではなくなる!と思って断念しました。彼もまた最後はどうなったのでしょう。やはり故郷に帰ったのでしょうか。本阿弥の茶飲み友達兼用心棒として移り住んでもよかったかもしれませんね。

・遥ちゃんについて
かわいそう。ひたすらかわいそう。生まれも境遇も過酷だったというのに挫けず強く育った奇跡みたいな子。ラストはどうなったのでしょう。無事に逃げ切れたとして、徳川家に戻ったのか祇園に戻ったのか。
でも桐生ちゃんと一緒にいたいという気持ちは強かったはずです。行動力有りすぎる子なので、そのまま近江の家に住み込んでもおかしくありません。なにせ養父殺害されたあとに、近江の家に行き、さらに祇園まで移動しています。歩きではないよね?と思いながらもお金は無さそうなので、もしやすると歩いたかもしれません。いつか桐生ちゃんが帰ってくるはずだと思い、近江と祇園を往復する日々を過ごしていてもおかしくなさそうです。

・告白について
元々は真島にさせるつもりでした。初期に考えていた設定とかなり変更しています。盗賊団を解散させるまでは同じなのですが、
・裏で桐生ちゃんが盗賊団残党に金を渡す(祇園や洛外でもめごとをおこさないように)
・それを知った真島が桐生ちゃんを叱り、反発する残党たちを叩きのめそうとする
・自棄になった残党たちが桐生ちゃんに襲い掛かるも、真島がかばって大けがを負う
・あまりのショックに真島を不幸にさせると思い、姿を消す
・盗賊団を使って桐生の居場所を特定し、「なんで俺なんかのためにここまで」「そんなん惚れとるからに決まってるやろ!」
……という流れを考えていました。
ただ、この設定では桐生ちゃんが追い詰められすぎてしまうと考えてボツに。すでに桐生ちゃんの目の前で真島は何度も大けがを負っているので、これ以上は耐えられないと考え直しました。
それよりも真島をかばったほうが桐生ちゃんは救われるのでは?よし、そのまま告白させよう!と、その場の勢いで話の流れを考える私の悪いクセで告白させました。それに対する真島の返事(「~それなら俺が幸せにしたる」の流れ)がいい感じになったので割と気に入っています。

・武蔵ちゃん、桐生ちゃんについて
いや真島のこと好きすぎないかこの人。
出会いから結城秀康襲撃、逃亡まで半日くらいしかたっていないのに、すっかり真島には「戦友」や「親友」と称しています。生死を共にしたからと言っても思いが強すぎる。
思うに宮本武蔵にはあまり親しい人がいなかったのではと解釈しています。見参の序盤では道場をひらき、弟子には慕われている様子でした。しかしそれしか情報がない。友人が訪ねてくるわけでもなく、プライベートの話もない。ひたすら剣についての話しかしていません。
そんなのんびりとした日常に丸目がやってきて、真島と出会うことになる。出会いは最悪というか桐生ちゃんの態度が悪すぎるというか、友達いないだろこの人。(ひと付き合い下手すぎる…)
けれど共に戦うこととなり、逃亡するうちにすっかり強い思いを抱いています。真島→武蔵はもちろんのこと、真島⇐⇐武蔵と解釈しました。
それゆえ浮世を死なせてしまったことには強い罪悪感を抱き、宍戸として生きていても記憶がないことに複雑な気持ちも抱いたことでしょう。自分のことを覚えていてほしかったが、そんな傲慢なことは言えるはずもない。真島によって断罪されることを望んでいたかもしれません。
そんな桐生ちゃんがシラフで告白なんかできるはずがない。意識朦朧のなか告白させるのが精いっぱいでした。
オマケ話で滝行桐生ちゃん版を書こうとも考えていたのにね。真島にやらしいことをされてしまうお話をほんのり考えていました。吉野に「妄想を増大させる滝があって、男に触られることを考えてしまう。俺は男色なのかもしれない」と相談することも考えましたが前述のとおり吉野が可愛そうなのでボツに。
可愛そうとか考えずに書けばいいかもしれませんが、書いてて楽しくない話は読んでても楽しくないのでボツはボツです。

・大団円について
もう少し真島と宍戸の喧嘩を書きたかったです。あっさりと人格が統合してしまったのが残念なところ。もうちょい二人で桐生ちゃんを取り合う様子を書きたかったのですが、それよりも盗賊団残党と遥ちゃんたちのことを解決させるのを優先させました。これはタイトルを先行して決めたからです。いつもはタイトルを最後に考えるのですが、これに関しては「大団円」もしくは「めでたしめでたし」にすると決めていました。私なりに見参への不満点を解決したかったためです。
あとから「一蓮托生」にしようかとも考えました。でも最後まで読んだ時に「大団円で終わったな」と思ってほしかったので、やはり「大団円」に。結果的にこれで収まりがよかったなと思います。
書きたりない部分がいくつかありますが、まさしく「蛇足」になるので色々諦めました。話が脱線してぐだぐだになるよりは、きれいに終わったほうが読み直しやすいですしね。

とまあつらつらとあとがきという名の言い訳というか解釈を垂れ流しました。もし最後まで読んでいただけた方がいるならば感謝の限りです。おつきあい、ありがとうございました。

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